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810 :1/4:2008/08/05(火) 09:33:16 ID:rh2sX86d
真っ白い闇の真ん中にシミが有った

―あれ?

激しい吹雪の吹きすさぶその白い闇の真ん中に有った影が
不意に二つに分かたれた

―なんで?

一つは少女
雪の上にうつ伏せに倒れている
一つは少年
その手には血濡れの剣が収まっていた
少し前、二人は決闘する為にここにやって来た
少女は鞭を携えたダークハンター
二つにした桃色の髪が雪と一緒に吹雪に遊ばれ舞っている
少年は降り積もる雪の様に真っ白な髪をしていたが
褐色の肌が白い闇の中でシミの様に浮かんでいる
彼もまたダークハンターであるが少女と違って剣を得意としていた

幼い頃からいつも一緒だった二つ年上の少女を
少年はとても慕っていた
彼がダークハンターを志して同じ門を叩いたのも
少女がダークハンターを目指していたからだ

そんなある日、突然師匠が病に倒れ帰らぬ人となった
すると一門は鞭派と剣派に別れて争いを始めた
いつしか二人はそれぞれの流派最強となり、何度も争った

だが遅れて修行を始めた差か元々の才能の差か
それともそれ以外の理由の為か
少年は少女に一度も勝てなかった


811 :2/4:2008/08/05(火) 09:34:45 ID:rh2sX86d
―才能無いんじゃない?
 縛れないダークハンターなんて誘うギルド無いわよ
 別の職探したら?


何度やっても少年は少女に勝てない
やがて一門は互いに多くの犠牲を出し
僅な生き残りも散り散りになって行った

二人はその後、別々のギルドに所属してからも度々争うのだが
少年はやはり少女には勝てない

―やっぱりレベルが違い過ぎるのね
 それに、剣なんか使ってるから勝てないのよ


すると地に伏したまま少年は少女を見上げ、言った

…決闘、だ
―は?わざわざ今更な宣言?しかも不様なカッコ、ぷっ
…一年後の今日だ、場所は
―じゃ、私達の修行した、あそこでどぅ?
…良いだろう

そして今日、二人は再会し、また別れてしまう

永遠に


812 :3/4:2008/08/05(火) 09:37:19 ID:rh2sX86d
―いつもの様に縛りから攻めょかな
 最後はこれもお約束、倒れた彼を踏みつけながらゲキをとばす

―でも、私に一撃でも入れられたらタマには褒めてあげようか?
 いや、わざと負けてみようか?嬉しくて泣いちゃうかな

―いやいや、私は彼の悔しそうな泣き顔が大好きなのです
 でも、嬉し泣きもみたいかも?

―とにかく、どれだけ強くなったか楽しみだ


一年ぶりに見た少年は見違えて逞しくなっていた
手には見たことも無い無骨で大きな剣を持っている

―久しぶり。尻尾巻いて逃げたと思ってた。ぷっ
…覚悟をしてきた
―負ける覚悟?
 逃げるなら尻尾はいつでも貸してあ・げ・る


少女は挑発的に手にした鞭を左右に振る

…行くぞ

一瞬だった

―なに、が

少女の胸元に熱い痛みが走った
少年が剣を少女の胸から引き抜くと
少女は声もあげず前に倒れ込む

本当は、いつもじゃれあいのつもりだった
彼を殺そうと思った事など、一度も無かった

そもそも少年が剣派最強と言っても圧倒的に次元が違う
修行時代、兄弟子達ですら誰一人少女には適わなかった
師匠の若い頃でも、と謂わしめた程だったのである

だからこそ、少年を殺す事もなく勝てていた


813 :4/4:2008/08/05(火) 09:51:14 ID:rh2sX86d
―あれ?なんで?
 嘘、だ…私た のレベ 差はたっ 一年じゃ…
 埋まら い…ハ、ズ


倒れた少女を中心に赤い染みが白い雪の絨毯を染めあげていく

…一年前に負けた後、この剣を作る為に頑張ったんだ
 でも恐ろしくてずっと使えなかった
…素材も剣自体も特別だから敵が大勢現れたんだよ
…敵も大切な仲間だったハズの奴らも、みんな殺している内に
 やっと出来たんだよ、この剣を使う覚悟
君を失う覚悟

少年の言葉は少女の耳にはもう届いていなかったのだが
少女はとても幸福を感じていた

それが何故かは、少女にはきっとわからなかった

やがて少女の意識はゆっくりと雪に溶けて…消えた

暫くして少年はその場を去って行った

少女の作った赤い色はやがて、降り積もる雪でまた白い色に染まっていった

何も無かったかの様に辺りは再び真っ白い闇に包まれた
ただ、さっきまでと違うのは

まるで墓標の様に
剣が白い闇の中に突きたっていた事だけだった
 

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